はじめに:半年以上の滞在には「居住許可」が必須です
オーストリアに半年以上滞在する場合は、必ず「居住許可(Aufenthaltsbewilligung)」が必要です。
日本人は相互条約により、入国前に居住許可を取得する必要はありません。つまり、先にビザだけ取得して、入国後に居住許可を申請するという流れになります。ただしこの制度、便利なようで大きな落とし穴があります。
大使館は居住許可に詳しくない?
「居住許可は入国後に現地で申請してください」という前提のため、日本国内のオーストリア大使館では、居住許可に関する詳細な情報を持っていません(と現地の私の世話人が愚痴を言ってました)。確かに質問しても「それは現地で聞いてください」と言われる場面が多く、その意味では制度として日本人に不利な構造になっていると感じました。
そこで本記事では、オーストリアに社会人として滞在するために必要な手続きを、以下の2部構成でお届けします:
- 国内準備編(この記事) ← いまココ
- 入国後編(別記事で紹介予定)
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ビザ申請書類の準備
まずは入国のためのビザ申請から。必要書類は以下のとおりです。口座情報と収入証明の両方を求められますが、銀行口座情報にちゃんと収入が振り込まれている履歴があることが重要です。要はマネーロンダリング等の汚い資金ではないかの確認がされるのです。ここはHPで明記されていません。そういう意味でオーストリア大使館HPに記載されている内容と、実際に提出を求められる書類には若干のズレがあります。早めの準備がおすすめです。
▶ 必要書類一覧
| 書類 | 補足 |
|---|---|
| ビザ申請書 | 大使館HPからダウンロード |
| パスポート | 申請時に預ける/返却時はレターパックで郵送 |
| 渡航理由書 | 出張命令書、招待状など |
| 旅行保険証書(カバー範囲記載必須) | 保険証書だけでなく、何がカバーされているかの明記が必要。Care Austria(別記事)だと安心です。 |
| 資金証明(銀行口座残高・入出金履歴) | 過去3ヶ月分の通帳or明細/収入証明とリンクしているかを確認されます |
| 収入証明書 | 給与明細、在職証明など |
| 証明写真(白地背景のみ) | 青地背景はNG。日本の証明写真機では注意 |
| レターパックライト | 大使館HPでは「返信用封筒」と記載があるが、パスポート返送のためレターパックでないと不可です |
ビザ申請プロセス
書類が揃ったら、大使館の予約ページから面談日時を予約します。
- 面談は英語またはドイツ語で行われます
- 特に難しい質問はされず、申請内容を語学で説明できるかを見る感じ
- 私の場合、証明写真が青背景だったため、白背景写真を撮り直し。近くの無人証明写真機を大使館の方に教えていただきました。その程度の会話です。
申請が受理されると、2週間ほどでパスポートにビザが貼付されて返送されます。このビザ発行が完了していないと下記の無犯罪証明書の発行はできませんので、早めに済ませてください。
居住許可申請に向けた国内準備
オーストリアの居住許可で特に注意が必要なのが、「3ヶ月以内発行の書類しか認めない」という点です。
- 他国では6ヶ月以内が一般的なのに対し、オーストリアは突出して短い
- しかも、入国後にしか取得できない書類(賃貸契約書など)に1ヶ月以上かかることもある
- 日本で準備する書類にも1ヶ月近くかかるものがあり、タイミングが非常にシビア
さらに、日本人は入国前に居住許可を取れないため、制度的に矛盾が生じているのが実情です。下記の無犯罪証明書の発行の際に、警視庁の方も、オーストリアはみんなここで躓いて書類の再申請に来るんですよ、と仰っていました。と言いつつ自分も再申請したクチですが・・・
なお、アポスティーユの他に公証証明書という国内の公印証明制度もありますが、これは不要です(私は当時必要か迷ったので念のため)。
日本国内で準備が必要な書類一覧
| 書類 | 備考 |
|---|---|
| 居住許可申請書 | 入国後に提出(コピーでも用意を) |
| パスポート(ビザ付) | コピー提出 |
| 旅行保険(または公的保険) | 滞在期間をカバーしていること(別記事参照) |
| 戸籍謄本(アポスティーユ+公認翻訳) | 同伴家族の婚姻・出生証明の代替として使用可能 |
| 無犯罪証明書(アポスティーユ) | 詳細は後述 |
| 資金・収入証明 | 入出金履歴と給与証明。翻訳はGoogle翻訳でOK |
戸籍謄本の取得・翻訳
- 取得:市町村役場で即日取得可能
- アポスティーユ取得方法:
- 外務省へ郵送(申請書+戸籍謄本+返信用封筒)
- 1〜2週間で返送されます
- 外務省 アポスティーユ申請サイト
- 翻訳:
- アポスティーユ付き謄本をスキャンして、オーストリア公認翻訳家(主にウィーン在住)へ依頼(下記のウェブサイトで日本語で検索すると公認翻訳家リストが出てきます)
- ÖVGD – Österreichischer Verband der allgemein beeideten und gerichtlich zertifizierten Dolmetscher und Übersetzer(オーストリア全般宣誓・裁判所認定翻訳通訳者協会)
- 全てオンラインで完結。事務所の場所は気にしなくてOK
- 費用:約26,000円
- 支払いはWISEなどを使えば送金手数料を安く抑えられる
無犯罪証明書の取得
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 申請者本人のみ(配偶者(大人)は必要、子どもは不要) |
| 申請場所 | 各都道府県の警察本部(例:東京は霞が関の警視庁本部) |
| 注意点 | 郵送不可。必ず本人が出向く必要あり |
必要書類:
- パスポート(ビザ付)
- 渡航理由書(出張命令書、招待状など)
- 同伴家族の名前が記載されていないと、家族の申請が受理されない可能性あり!
- 申請内容確認 → 指紋採取 → 2〜3週間後に再訪問で受領
- 警視庁 無犯罪証明書HP
受け取り後は、外務省でアポスティーユ付与(戸籍謄本と一緒に送るのが便利です)
💡 封がされた状態で返ってきますが、外務省で一旦開封 → アポスティーユ付与 → 再封緘されるので問題ありません
✨ この書類は翻訳不要(多言語対応済み)です。
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まとめ:入国前の準備は「時間との勝負」
オーストリアの居住許可申請は、制度と現実のズレが多く、計画的な準備が不可欠です。
- ✅ ビザ申請と居住許可の二重構造を理解する
- ✅ 書類の有効期限(3ヶ月ルール)に注意
- ✅ 翻訳やアポスティーユに時間がかかるものは早めに動く
- ✅ 大使館はあまり詳しくないと割り切って行動する
次回は「入国後編」として、グラーツやウィーンでの居住許可申請手続きの流れ、不動産探し、住民登録などの現地対応をまとめてご紹介します。
✈️ 日本を出る前に、準備を抜かりなく!


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